ケーススタディ
テネシー大学 ウィルソン・アカデミー 学生19名
4時間プログラム • 東京稲城市
テネシー大学 アラン&ウェンディ・ウィルソン・コミュニケーション&リーダーシップ・アカデミーは、学部生のビジネス・コミュニケーション能力とリーダーシップの育成を目的とした主要プログラムです。同アカデミーは今回、従来の留学プログラムの枠を超え、実社会と接続した体験型の学びを日本で実現することを求めていました 。
そこで私たちは、実践的な農業体験と地域コミュニティとの関わりを軸に、適応的リーダーシップを実践の中で育むプログラムを設計しました。
身体を通して得た体験を、アート思考によって自分自身の視点へと統合し、さらに地域社会への価値へと接続していく。
本プログラムは、学びが社会へと循環する構造を持つ実践型のリーダーシップ教育です 。
• 農場での実地活動(1時間)
• 実際の制約条件のもとでの身体を使ったリーダーシップ実践
• 畑から市内中心部への移動(約15分)
• 地域社会への没入を通じた観察とリフレクション
• 創造的統合ワークショップ(1.5時間)
• アート思考と対話を用いたリーダーシップの可視化と言語化
本プログラムは、若者を受動的な学習者ではなく、変化を生み出す主体として捉える設計に基づいています。
伝統的な農の知恵、日本の郊外コミュニティの暮らし、そして理想化されていない現実の制約に向き合う体験を通じて、適応型リーダーシップを育成します。
本プログラムでは、アート思考と対話を通じて、体験を単なる出来事で終わらせるのではなく、自分自身の視点として再解釈するプロセスを重視しています。既存の正解に依存するのではなく、自分の言葉とビジョンを通して体験を意味づけ、自分自身の判断軸として育んでいきます。このプロセスによって、リーダーシップは概念ではなく、自分ごととして立ち上がるものへと変わります。
本プログラムの特徴は、部分的な体験ではなく、プロセス全体を一つの意味として捉える構造にあります。土に触れる体験から、収穫、準備、届けるプロセス、そして地域社会へのインパクトに至るまで。
多くの留学プログラムが東京の都市部に集中する中で、本プログラムでは、東京中心部から約40分の郊外コミュニティである稲城市をあえて選びました。
この選択は、単なる利便性ではなく、学習体験そのものを設計するための戦略的な判断です。
稲城市には。観光し」と「生産」と「コミュニティ」が地続きに存在しています。
実際にある農家の方は学生にこう語りました。
「ここには 、多くの観光客が知らない“本当の日本”があります。人々が暮らし、食べものが育ち、コミュニティが今も意味を持っている場所です。」
学生たちは、駅から農場までの道のりを歩きながら、住宅街の風景や人々の営みを観察し、地域社会への理解を深めていきます。
また農場からワークショップへと向かう移動の時間は、身体的な体験を内省し、問いへと変えていくための重要なプロセスとして機能します。
舞台となるのは、わずか64平方メートルのマイクロファームです。
広大な農業ではなく、限られた空間の中で、精密な作業と伝統的な知恵が組み合わさることで、大きな価値が生まれることを体感します。
こうした環境の中で、学生たちは「体験」と「社会」と「思考」が分断されない学びに向き合うことになります。
一部の学生は
農場を訪れること自体が初めて
一部の学生
大規模な商業農場での経験を持つ学生もいた
しかし全員が
64㎡という小さな農の空間の中で、人・土地・作業との“本質的なつながり”を感じていた
稲城市の農場 • 64㎡ • 1時間
指示を待たず、いつ行動に移すか。
学生たちは 、あらかじめ役割を与えられることなく、 自ら動きながら自然に組織化していきました。 リーダーシップは肩書きではなく、行動の中から立ち上がっていきます 。
どのように他者を支え、どのように助けを求めるか。
共同作業の中で、チームは自然に形づくられていきました。事前に決められた役割や構造ではなく、その場に生まれる必要性から協働が生まれます
行動に移る前に、何を見て、何を捉えるか。
学生たちはまず土地の状態を読み取り、状況を見極め、判断する前に問いを持つ姿勢を身につけていきました。
今日、何を自分ごととして担うか。
収穫物の質の管理から地域への提供に至るまで、学生たちは成果が社会に届くまでのプロセス全体に主体的に関わりました。
収穫の最中、元RICOHの研究開発エンジニアであり、現在は地域で農業を営む方が、偶然その場に立ち止まり、初対面の19名の学生たちに農と郊外の暮らしについて語りかけました。それはほんの短い対話でしたが、後日彼はこう綴っています。
「あの時のことを思い出します。印象的で、とても良い思い出です。」
「彼らがアメリカで活躍してくれれば、未来の世界はもっと良くなると思います!」
彼は学生たちの体験を“目撃”しました。そして、その姿に心を動かされ、この若者たちが世界をより良くしていくと確信したのです。
台本では決して生み出せないこのような文化的交流は、 意味のあるつながりが自然に立ち上がる環境 、そして“目撃”が“確信”へと変わる瞬間を生み出す設計の力を示しています。
プログラムの理念と重なる地域コミュニティ空間にて(1.5時間)
従来型のリーダーシップ研修を超えて。アート思考は、実際に身体で経験した体験を、自分自身の判断軸と実践可能なリーダーシップの枠組みへと統合していく「身体性を伴う統合手法」です。
価値観の可視化と言語化
ビジュアルツールを用いながら、自分の中にある価値観・判断基準・リーダーシップ観を外在化します。
体験から意味を引き出す対話
農作業の共通体験を起点に、少人数での対話を通して気づきや視点を深めます。
ビジョンの創造的表現
チームで体験と思考を結びつけ、「より良い未来のためのリーダーシップ」を一つのビジュアルとして構築します。
グループプレゼンテーション
リーダーシップの意図・判断軸・責任について、言語化し共有します。
ワークショップは、KimPaxの草の根エンゲージメントと地域の持続可能性というビジョンと合致するミッションを持つコミュニティスペースで開催されました。複数のコミュニティメンバーが観察し、交流し、即座の相互影響につながりました。
「学生たちのビジョンを描いた絵を見て、感動して涙が出そうだった」
— コミュニティスペースマネージャーからの反応
収穫物の一部はこのスペースと共有されました。それらは、地域住民60人が大根餅を作るイベントで使用され、学生たちの仕事と地域の食システムとの継続的なつながりを生み出しました。
これは、KimPaxの基盤からのデザイン哲学を例示しています:プログラムのすべての要素が、コミュニティへの複数のインパクト経路を生み出します。
プログラムの中で収穫した有機野菜を、収穫から24時間以内に地域の施設へと寄付します
34kg
有機大根は下記の場所に届けられました
コミュニティからの反応:
「とても嬉しいです。有効に活用させていただきます。」
60人以上の地域の人々
餅つきイベントで、学生たちが収穫した大根は大根おろしとなりお餅と共に提供されました
継続するつながり
学生たちの取り組みは、地域の食の循環の中で、今もなおインパクトを生み続けています。
農場
収穫
準備
届ける
コミュニティへの波及
学生たちは、この一連のプロセスすべてを「見て」「関わり」「体験」しました。
「これまで学生グループ向けに、こうしたタイプのプログラムは経験がありませんでした。」
— 根本麻子さん、プログラムコーディネーター、IES Abroad Tokyo
カリキュラム上であらかじめ設定していた成果ではなく、 学生および担当教授からのフィードバックの中で、 「エンパシー(共感)」が最も象徴的な学びとして自然発生的に浮かび上がりました。 それは、設計された学習目標というよりも、 本物の出会いの中から有機的に立ち現れた成果でした。
体験を、リーダーシップへ。そして社会へ。
観光地としての東京ではなく、 都市中心部から1時間圏内にある日本のリアルな郊外生活に身を置きます。
大規模農業ではなく、意図的に設計された小規模農地。 限られた空間 × 精密さ × 伝統的知恵 = 確かなインパクト を体現しています。
合計15分 地域を歩き、観察し、身体と環境を通して思考する没入型プロセスです。
リーダーシップは講義で教わるものではなく、 実際の行動の中で実践されるものとして扱います。
身体的な体験を、思考と言語、そしてビジョンへと変換する統合プロセスです。
あらかじめ役職や担当を決めず、 必要性から生まれる自然な自己組織化の中で、リーダーシップが立ち上がります。
種から収穫、準備、提供、そして地域への影響まで 。この一連のプロセスを、24時間の中で体験します。
農のネットワークと連動した設計により、 学習が複数の地域インパクト経路へと接続される構造を持っています。
34kgの食材を24時間以内に届け、 学びが即座に地域との関係性へとつながります。
デニス・パストリー・ルバンガ博士
創設者兼CEO、プログラムディレクター
伊佐治真美
アート思考プログラムデザイナー
渡辺希
写真撮影&ビデオグラフィー
Caleb Foale
アジア太平洋地域ディーン
根本麻子
プログラムコーディネーター
Guy Harrison, Ph.D.
ウィルソン・アカデミー ディレクター
Amanda Yother
学生募集ディレクター
本フレームワークは、日本国内に限らず、グローバルでも目的やニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能です。
リーダーシップを「学ぶ」だけでなく、実践の中で体得する。 そのための本質的な体験型学習を、どのように共につくれるか、ぜひご相談ください。
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